裸火

覆いのない、むき出しの火。

火は覆うことによってそのエネルギーを効率よく使うことができる。覆いのない裸火(はだかび)はその内包するエネルギーを無駄に放出していることになる。この程度の焚き火でも2m以内には入れない。近づくこともできない熱量は人々に恐怖を与えてもそれ以上の利益は与えない。人の手中に収め有効利用するために容れ物に閉じ込めた。しかし、いかに工夫してもこの燃焼エネルギーは100%利用されることはない。自動車でさえエンジン燃焼エネルギーの動力への変換は30%程度だとされている。いかに我々の生活は効率の悪い中にあるか?ということか。
「熱力学」は燃焼効率を上げるための学問であり、現代においては重要な技術分野であろう。ただ、例えばその第二の法則、熱は高温から低温へと移動しその逆は起こらない。(お湯と水を混ぜるとぬるま湯になるが湯の温度と水の温度を加えた水温にはならない)それは何故か?
「人類はこの宇宙の理(ことわり)のごくわずかしか解明していない。」システム論の教授、M先生の言葉である。
燃えさかる裸火を前にしてしかし、満々と水を湛えた自然科学の深淵に立つ思いである。