富士尾山 天満沢より登る

北アルプス常念山脈、その前に立ち並ぶ標高の低い山々を通称「前山」と言います。脇役とはいえ1000mを優に超え2000m近いものもあります。

安曇野穂高あたりにおいては「浅川山 あさかわやま 1742.8m」や「大峠 1909.5m(三角点天満沢てんまさわ)」、そして、それらのさらに前にある「富士尾山 ふじおさん 1296.1m」。富士尾山は穂高の平地から見ると浅川山や大峠の山腹に紛れ、存在感がない時もあります。しかし低いながらも天満沢から切り上がり、南に長く尾根を伸ばし、川窪沢川に落ちる始めと終わりのある独立した山なのです。

「常念岳断層」が北は大町の「鍬ノ峰 1623.2m」、松川の「雨引山 1371m」、そして穂高の「富士尾山」、南は堀金の「角蔵山 1163.6m」へと続くラインを長く走っています。これらの山々は同じ様にこの断層により出来た兄弟の山といってもいいでしょう。またそれらは里山として人々の暮らしと密接に関わってきた境遇も同じなのです。

断層は山や谷の形成に大きく関わっているようです。さらに人間も知らず知らずその「地の利」を追ってきたと考えることもできます。私たちの取り組む満願寺〜大峠〜中房までの古道も実は「信濃坂断層」という明確な長い断層ををなぞって道がつけられています。

スクリーンショット 2018-11-25 11.41.51

IMG_6014

 

IMG_6015

 

さて、前置きが長くなりました。安曇野の前山の前山「富士尾山」を市民の里山として気軽に登れる山にしたいとかねがね考えていました。もちろん昔は登山道がいくつもあった様ですが現在、道として機能しているのはアートヒルズミュージアムを西方に上がった奥を入り口とする1本のみ。そこからだと尾根筋に出てから頂上まで約2.5km、普通に行けば2時間30分から3時間かかってしまいます。だらだらと続くそこそこの傾斜を直登で進む。そのくせ、その我慢が報われる眺望があるわけじゃない。これじゃぁ人の脚も遠のくでしょう? ですから2時間以内の別の登頂ルートを復元もしくは開拓したいのです。

国土地理院2万5千分の1の地形図に目を凝らし、今回当たりをつけたのが天満沢沿いの林道終点から北尾根を行くコースです。

スクリーンショット 2018-11-28 8.24.00

下の場所が林道の終点です。真ん中のヒノキの脇から取り掛かりました。

IMG_5969

もちろん道などなく登りやすい所をコース取りし、ジグザグに登っていきます。まずは尾根筋に出ることを優先します。わずか10分ほどで尾根に出ることができました。

尾根に出た後も道などなく、藪の中をかき分けて進むことを想定していたのですが非常に歩きやすい。これはもしや道ではないかという疑念は次第に確信に変わっていきました。

登り始めて50分でちょっとしたピークに着きました。ピークから10分ほど行くと大きな岩が現れ始め15分でさらに大きな岩に出くわしました。さすがにこの辺りでは楽に通れず慎重にコース取りをしないとダメだと思いました。

IMG_5953

 

IMG_5966

しかし大岩を登りきると途端に傾斜は平坦になります。

尾根というものはもともと草木も根付かず自然と歩きやすくなっているものですが下の写真を見てください。帰り道で撮ったものですがやはり道として明らかに通行があるようです。山菜採りやキノコ採り、猟師など、それに混じって登山者も多少いるかもしれません。

IMG_5963

新道開拓を意気込んでいたのでちょっと力が抜けましたが、これなら数カ所の簡単な整備で立派な道が出来そうです。

IMG_5962

頂上近くなると笹が現れます。

IMG_5959

頂上には三角点があります。

IMG_5957

登り2時間10分 下り1時間30分 距離片道2kmという結果となりました。

2時間を超えてしまいましたが。道を歩きやすく整えれば2時間を切ってくるでしょう。

今回の探索は予想以上に成果があり目的達成の自信とやる気に心が高揚しました。

スクリーンショット 2018-11-28 7.08.42

ただ、状態のよくない林道の終点を登山口にするのがマイナスです。入り口はもっと里に近い方がいい。

天満沢右岸の別荘地奥から今回の途中にあったピークに出る道はないか?北富士尾沢の尾根から登る「山の神」ルートの再興なども考えています。ということで乞うご期待!