ヤマカガシ

11月、庭で子猫が興奮している。初めて見る蛇にちょっかいを出している。蛇はヤマカガシ、体長40センチ位のこちらも子供である。猫の爪で引っ掛けられ何度も宙に飛ばされる蛇はぐったりして死んでいるかの様だった。蛇であれ何であれ子供に対しては情が動く。すぐに引き離ししばらく様子を見る。目を閉じて力なく垂れ下がっていたそれは静かに、けれどスイッチが入ったように生気が宿る。死んだふりをしていたのである。したたかだ。子猫が飽きるまでやり過ごすつもりだったのだろうか。無邪気な哺乳類と同格にみていたのは間違いだ。
触れてみる、陽光差すとはいえ11月の空気にその体は予想以上に冷たいと思った。
蛇はどの様なメカニズムで前に進むことができるのか。観察していると前に進む動作はいくつものパターンがあり、緻密で複雑なプログラミングが連動しているように思える。

10月、高木に絡みつく「アオダイショウ」を目撃した。地べたを這うばかりではない、地上、地中、水中までも生息域を広げた。もはや手足を必要としない先進の生物をみる。