大峠古道 復元・整備計画書

当クラブの根幹!古道復活! 現在計画は頓挫して中断していますが諦めてはいません。4年前、クラブ発足当時の計画書です。

「大峠古道(仮称)」復元・整備計画 3カ年計画書

  2018年2月1日

         安曇野裏山クラブ

安曇野から見た大峠

◇ はじめに

「大峠古道」と仮称したのは、満願寺から北の沢上流域の宮ノ平を経て大峠を超え、冷沢沿いに下って信濃坂の手前に合流し、中房温泉に至る古道のことである。この古道と思しきラインが平成27年発行の国土地理院2万5千分の1地形図「有明」にも点線で記されてはいる。しかしながら、実際はかなりの区間が廃道化しており、この地形図の点線通りか疑わしい箇所もある。

この大峠古道は、江戸時代以降、多くの人々が湯治に通い、また、「明礬」搬出の往来もあった道であった。往時の人々の思いは、中房温泉のみならず、さらにその奥の燕岳や神河内(上高地)にも向かっていたようである。安曇野や松本平から西山の奥に至る古道には、他にも徳本峠越えの道、そして鍋冠山大滝山を越える道があり、現在でも立派に整備されて少なからぬ自然愛好家・歴史愛好家を迎えている。ところが、大峠古道もこれらの道に劣らぬ歴史を背負った重要遺産でありながら、ひとり朽ち果てようとしている。

幸い、平成初期にはかろうじて踏み跡が残っていたようであり、その道を記憶する方々もいる。この古道を調査するチャンスはまさに今しかない。大峠古道の復元・保存は、安曇野に住まう我々にとって、急いで取り組むべき課題だと考える。

◇ 復元・整備目的

・安曇野から徒歩で中房温泉、さらには燕岳に至れるコースを広く世に知らしめ、地域の活性化を図る。西山山麓地域には少ない遊歩道の拡充。

・山麓帯から亜高山帯に至る豊かな自然を観察、学習する。また、一部民有、公有、国有の人工林を目の当たりにすることができ、森林整備の実際と森林保全の重要性を理解・啓発できる場を提供する。

◇ 事業主体

事業主体は「安曇野裏山クラブ」とし、作業実施はクラブの自家労働とする。また、一般のボランティアも募る。

◇ 事業期間

2018年4月 〜2021年3月 の3年間とする

◇ 事業地・事業量

安曇野市穂高有明地籍 別紙地図参照

管理小屋から発電所まで徒歩道総延長 約8km。

整備区間

穂高財産区森林管理小屋〜大峠  約4.3kmの内 約3.6km

大峠〜中房第5発電所付近  約3.7kmの内 約2.2km   合計 約5.8km

◇ 現 況

昨年(2017年)において数回の現地調査を実施。安曇野市役所耕地林務課、及び文化課か らの聴取、安曇野市立図書館の諸史料により古道の存在はより確かなものとなった。

林道北の沢線の支線作業道の延長に古道がつながっていることを確認。GPSの軌跡は途中までは地形図の破線と一致することも確認した。東京電力高瀬川ダムからの送電線巡視路として利用されているため56番鉄塔までは道が整備維持されているようだ。しかしその先は一面の笹野原で道の痕跡すらつかめないでいる。

鉄塔から約1.5kmの古道上に土砂堆積した平地があり「宮ノ平」という名前が付けられている。湿地化した草地であり何本もの細い水の流れがある。昭和初期には茶屋小屋が現存していたとの証言がある。

大峠は幅も高さも3mほど切り取られていて現在でも道がしっかり残っている。地形図では北の沢の沢筋を直登しているように破線が描かれているが。実際には沢の右岸側に切り土した道が地形をトラバースしながら上ってきて大峠につながっている。しかし、ここも笹に覆われ下るにつれ途中から不明瞭になる。

大峠から発電所まで現地調査は未実施。しかし衛星写真で古道を判別できる場所が数箇所ある。

国土地理院25000分の1地形図には途中までしか描かれていないが林道北沢線が満願寺上から南に大きく迂回しながら大峠近くを通り中電第5発電所まで続いている。峠を越えた冷沢では古道と林道が並行し、また、古道を横切り分断している箇所がある。標高1350m付近で古道が車道と合流し、それより下流においては地図上では徒歩道の記載はない。

◇ 復元整備計画 概要

初年度(2018年度)

4月〜12月 全線現地調査、ルート割り出し、関係官公庁許可申請、中房温泉取材

1月〜3月  調査結果まとめ

2年次(2019年度)

5月〜12月 管理小屋から大峠までの区間の刈り払い、開削。

1月〜3月  事業中間報告まとめ

3年次(2020年度)

5月〜11月 大峠から第五発電所までの区間刈り払い、開削。

管理小屋から大峠まで再度刈り払い

12月〜3月 事業結果まとめ

刈り払いは主に笹を対象とする。鎌による手作業か刈払機による作業となる。

必要に応じて切り土、盛り土をして道の開削をする。幅員は現況に合わせ、新規作道の場合、

一般登山徒歩道程度とする。できるだけ環境維持に努め立木の伐採などはしない。

◇ 事業費 予算概算

2018年度の調査後に査定

地図1

地図2

地図3